御 挨 拶

令和6年4月1日
 

本年度より校長室を担当いたします。この3年間特別支援学校で校長を務めさせていただき、7年ぶりにこの美鈴が丘高等学校へ復帰することとなりました。どうかよろしくお願いいたします。


本校は、「校訓『進取 友愛 節度』のもと、高い志を持ち、変化の激しい社会において自らの未来を切り拓き、『地域共生社会』の担い手となる人材を育成する」という学校教育目標に基づき、学校が所在する住宅地や生徒自身が居住する地域を紹介する探究活動等、地域と連携した特色ある取組を進め、持続可能な地域社会の創り手となる資質・能力の育成を図ってきました。同時に、令和5年度より文部科学省委託事業「新時代に対応した高等学校改革推進事業(普通科改革支援事業)」の指定校として、新学科設置に向けたカリキュラム開発も進めてまいりました。こうした検討を踏まえて、令和7年4月に、普通教育を主としつつ、地域社会に関する学校設定教科等による「探究的な活動」を特色とする「グローカル探究科」を設置することとなりました。「グローカル(glocal)」とは、グローバル(global:地球規模の)とローカル(local:地域的な)を合わせた言葉で、「地球規模の視野で考え、地域で行動すること」 を意味します。この「グローカル探究科」は、「国際平和文化都市『広島』をフィールドとした学びにより地域社会の発展に貢献し続ける人物を育成する」をコンセプトとして探究を進める中で、具体的に以下の3つの資質領域における9能力の育成を図ります。


〇地域や社会の課題を見出す力 【情報収集力・情報分析力・発信力】


〇正解のない課題に向き合い続ける力【自分力・行動力・思考力】


〇協同して課題を解決する力【調整力・実践力・連携力】


 合わせて、様々な先進的な取組を軸とした学校運営を進めるとともに、今後も設置に向けての検討を重ね、可能な限り速やかに情報共有をさせていただきます。


この能力の中で私が最も注力したいのが、「自分力」です。私には強い信条があり、5年前より「トータル・サティスファクション」、つまり「幸福な人生を送りたい」というすべての人が持つ希望、これを実現していくために「自分自身に何ができるか」を常に問い続けていくことこそがこの時代に生まれた私たちに課せられた義務であると同時に次世代への責任であると考えてきました。「自分力」を身につけていくには、「自分に何ができるか」に気づき、これを磨いていくためには、特定の個人や地域だけでなく全体の幸福の総量を考える必要が出てきます。一人一人に与えられた境遇や役割は異なりますが、お互いを尊重し合い、たとえわずかでも幸福の全体総量を増やしていくことは、この現代社会において、もっと多くの人間が重視すべき視点であるという思いには今も変わりはありません。


また、私たちの誰もが人生において苦しい時を必ず経験します。そのような時に、人に頼ってもいいけれども決して人のせいにはせず、うまくいかなくても迷ってもいいけれども、最後は自分で判断しようとする姿勢が人を強くします。この姿勢を身に付ける機会は、人生のあらゆるところに存在していますが、私たち大人でもきちんと正対することが難しいものです。臨床心理学の河合隼雄氏は、「人間、自分が本当に強くないと感謝ができない。」という言葉を使っておられますが、私たちがこのしなやかな姿勢を身につけるために必要なものは、自分に起こる様々なこととの出逢いへの「感謝」の心。そして、これを謙虚に受け止め、素直に学ぼうとする心を大切にしていく姿勢そのものが「自分力」であり、この心と力を、本校の生徒・教職員を始めとするすべての皆様が身につけ、自分の人生も他の人の人生も豊かで幸福なものにしていただきたいと考えています。


誰一人取り残すことなく、すべての人が幸福に暮らしていける社会の実現こそ、私たちに課せられた使命です。この使命を果たすべく、本校教職員一同日々努力を重ねてまいります。


広島市立美鈴が丘高等学校長 


合 田 和 広 



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