
新年度の御挨拶前任の柳 義信校長先生からバトンを引き継ぐ形で、昨年度から校長を拝命しております。令和5年度より「新時代に対応した高等学校改革推進事業」の指定校となり、創立から 38年目を迎える今年度、広島市ハイスクールビジョンに基づいて約 3 年間かけて準備を重ねてきた、1 学年 240 名のグローカル探究科が設置され、いよいよ 1 期生を迎えてスタートを切ります。 「グローカル」とは、グローバル(global)とローカル(local)を重ね合わせた造語で、国境を越えた地球規模の視野と,草の根の地域の視点で,さまざまな問題を捉えていこうとする考え方を意味します。本校ではこの考え方を基に、「探究活動」という他人に課題を与えられるのではなく、自身で課題や問いを設定し、探究的な見方・考え方を働かせて学習を進めてまいります。 人はなぜ学ぶのか。もちろん、それは決して良い大学や良い会社に入るためではありません。あくまでもそれは手段であり、目的ではないからです。学ぶことの目的は、世の中のことがよく見えるようになり、より良い人生を選択でき、より充実させることができるようにすることです。人生の早い段階で自分の身の回りの小さなことにも疑問を持ち、そんな経験の中から他人に何と言われようとも心から興味が持てる大好きな分野が見つかり、周囲からはものすごい努力に見えることを自分は努力と思わないほど没頭できる。そんな人材が成長して、社会に利益をもたらす仕事を見つけることができれば、社会にとっても本人にとっても幸福なことです。それこそが本校がミッションに掲げる「トータル・サティスファクション」の実現です。今後の変化の激しい社会においては、既成の価値観を超えた、こうした人材がお手本となって「遊ぶように働ける」時代が来ると私は考えています。本校は探究学習を中心に据えた学びを高等学校段階で深めることで、未来の社会において人々の憧れとなり中心となるべく人材を創出していきます。 そのために本校が生徒の皆さんに求めることは、自己主導性、つまり「自分で考え、判断し、主体的に行動することで自分の人生をリードしていく力」です。思い通りにならないことは人生では多々起こりますが、そのような場面でも決して人のせいにすることなく、自他を信頼して、走りながら考える。これこそが自らの「生きる力」となります。できるかできないかがわかってからやるのではなく、行動することで現実を変えること。そうすることで次にやることが自分の視界に見えてきます。これはある意味においては勇気の問題です。生徒の皆さんにはこの勇気をもって、自らの人生を切り拓いてほしいと願っています。 本校の教職員はそんな皆さんを全力で支援していく覚悟を決めています。一緒に走っていきましょう。 令和 7 年 4 月 広島市立美鈴が丘高等学校 校 長 合 田 和 広 |